「媒介と仲介の違いは?」
「媒介契約を頼みたいからどれがいいのか知りたい」
媒介と仲介の違いは不動産においてはほぼなく、手数料も同じことを指します。不動産会社で媒介契約を行う際は、一般媒介もしくは専属媒介のどちらかになります。
本記事では、媒介と仲介の違いを知りたい方に向けて、大家さん目線で不動産会社の契約や取引の詳細を解説します。ぜひ最後までご覧ください。
媒介と仲介の違いとは?不動産の取引においてはほぼ同じ
不動産用語で良く見かける「媒介」と「仲介」ですが、不動産業界においては意味に違いはありません。媒介と仲介どちらも「売主と買主の間に入りとりまとめる」という意味になります。
ですが「媒介」と「仲介」の細かい違いは次の通りになります。
- 媒介は「不動産売却を契約する時に使う」
- 仲介は「不動産会社に依頼すること全般」
- 不動産において「媒介と仲介の手数料も同じ」
「媒介」と「仲介」の違いを良く知るために、まずは2つの言葉が持つ意味について、ぜひ参考にしてみてください。
媒介は「不動産売却を契約する時に使う」
媒介とは「2つのものの間に立ち、両者を仲立ちすること」を意味します。不動産業界において2つのものは以下を指します。
- 売主
- 買主
そして「間」に入るのが不動産会社です。
不動産取引の「媒介」とは、売主と買主の間に契約を成立させる時に使います。また、不動産用語では「媒介契約」と呼ばれることが多いです。媒介契約は不動産売却の際に売主が不動産会社と結ぶ契約のことを言います。
この媒介契約は不動産売却を左右する大切な要素の1つです。媒介契約書は、不動産会社がどのような条件で売却活動を行うか、成功した際の報酬はどのするのか内容を定めて契約を取り交わします。媒介契約は、売主と不動産会社の間でトラブルを避けるには必要です。
仲介は「不動産会社に依頼すること全般」
一方「仲介」は不動産取引全般において使われています。不動産用語では「売主と買主の間に入り、まとめること」を意味していますから、媒介とほぼ同じ意味です。
不動産売却の際、仲介に入った不動産会社は売主に代わって買主を見つけるため活動をします。また、売買契約書や重要事項説明等の手続きを行い、取引が成立すれば売主は「仲介手数料」を支払います。
不動産取引全般で使われますから売主と買主、両方の立場から依頼する時に使われるのが仲介です。
不動産において「媒介と仲介の手数料も同じ」
不動産において、媒介と仲介の手数料は同じで仲介手数料のことを「不動産を売却する時に限り」媒介手数料、と呼ぶことがあります。
仲介手数料は次の間を取り持って契約が成立したら支払う報酬です。
- 売主と買い手
- 貸主と借り手
ただ、不動産を売却する時には、この仲介手数料を媒介手数料と呼ぶことがあります。これは、宅地建物取引業法では不動産会社と売主は「媒介契約」を結ぶように、義務付けられているためです。
「不動産売却時に従う忠実な言葉を使おうとした」結果、仲介手数料のことを媒介手数料として呼ぶことがあります。
不動産会社における媒介契約3選を解説!選ぶなら「一般媒介or専任媒介」
不動産会社における媒介契約は次の3つがあります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
どの契約を結ぶかは売主が決めることができて、最終的に不動産会社に支払う仲介手数料は同じです。
また、専任媒介契約と専属専任媒介契約の2つを専任契約といいます。
それぞれの媒介契約には特徴があり、3つの媒介契約の違いは、次の表にまとめました。
一般媒介 契約 | 専任媒介 契約 | 専属専任 媒介契約 | |
自己発見取引 | できる | できる | できない |
依頼できる 会社の数 | 複数社に 依頼可能 | 1社のみ | 1社のみ |
依頼主への報告 | なし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
指定流通機構への登録 | 義務なし | あり | あり |
詳しくは次以降で解説しますので、参考にしてみてください。
1.一般媒介は最も自由度が高い
一般媒介の大きな特徴は、複数の不動産会社に依頼が可能なことです。そのため同時に何社とも媒介契約が可能です。また、自分で買主を探してもよい自己発見取引も認められています。
3つの媒介契約の中で、最も自由度が高い契約形態です。
不動産会社からの販売報告の義務がないので状況が把握できず、指定流通機構「レインズ」へ登録義務がないです。
一般媒介契約は契約期間が定めがないので、期間内ならいつでも解除できる特徴があります。一般媒介契約を結んだけど、思う様に販売活動が進まない際はほかの媒介契約へ切り替えることが可能で、違約金も発生しないです。
複数の不動産会社と契約を結べるのですが、不動産会社は販売活動に消極的な傾向があり、広く・多く声がかかることは少ないです。
しかし、物件によっては駅から近い、築浅などの人気物件ならすぐに売れる可能性があります。不動産会社が競って販売活動を行うためにより良い条件での売却が期待できますが、それ以外の中古物件などは販売活動に消極的になる傾向です。
2.専任媒介契約は積極的に売ってくれる
専任媒介契約は、一般媒介とは異なり契約を結べるのは1社のみです。ただし、自分で買主を探すことが可能な直接取引は認められています。
また、不動産会社は媒介契約締結後から7日以内に指定流通機構「レインズ」への登録が、義務付けられています。
依頼主への状況報告は2週間に1回です。
信頼できる1社とのみ契約を結ぶ専任媒介は、積極的な販売活動が期待できます。つまり、買い手が決まりやすくスムーズに成功しやすい特徴があります。
また、不動産会社とのやり取りも1社のみで、状況が把握しやすくい一般媒介よりも手間が少ないです。
しかし、囲い込み(物件を紹介しない)ケースもありますから注意が必要です。専任媒介契約は不動産会社1社の販売協力になりますから、不動産会社は慎重に行う必要があります。
3.専属専任媒介契約は制約が最も多い
専属専任媒介は、専任媒介と同じく不動産会社1社と媒介契約を結びます。専任媒介と異なる点は、自分で買い手を探す直接取引が認められていないことです。不動産会社は契約を締結した日から5日以内にレインズに登録し、1週間に1回以上販売状況を報告する義務があります。
3つの媒介契約の中で一番制約が多い特徴があります。ただ、不動産会社の手厚いサポートが期待できて、比較的早く売れる傾向です。不動産会社1社の販売力が頼りになります。専任媒介同様に、不動産会社は慎重に行いましょう。
賃貸では専任媒介という契約は存在しない
不動産会社が行う仲介業務には、次の2つが存在します。
- 売買仲介
- 賃貸仲介
売買仲介とは「売主と買主」の間を仲立ちして、売買契約が成立するのが目的です。
また、賃貸仲介とは「貸主と借主」との間を仲立ちして賃貸契約が成立するのが目的です。
媒介契約は、宅地建物取引業法第34条2項3号に次のような規定があります。
依頼者がほかの宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約(以下「専任媒介契約」という。)の有効期間は、三月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする。
引用元:宅地建物取引業法第34条2項3号(e-GOV 法令検索)
専任媒介は、宅地建物取引業法の第34条2項3号に初めて登場します。条文には賃貸に相当する文章はなく、宅地建物取引業法には売買又は交換のみ記載されているので、賃貸では専任媒介は存在しないです。
専任媒介に相当する契約は「代理」
専任媒介が実務において相当するのは、内容的に「専任媒介(代理)」に相当します。専任媒介契約書が交付されることはありますが、売買仲介のように宅地建物取引業法では定めていないです。つまり、契約者同士の約束を証明するために交付される書面です。
仲介の取引方法3選を解説!仲介手数料は2倍になる可能性
不動産会社が不動産売買の仲介を成立させると、不動産会社には仲介手数料が入ります。これが不動産会社にとっての儲けです。
仲介手数料は大きく3つに分けられて、次の様になります。
- 「両手取引」の場合は値段交渉の余地がある
- 「片手取引」は商談・交渉に時間がかかる
- 「あんこ」は不動産会社が不動産会社を仲介している
媒介契約を結ぶ際はぜひ、参考にしてみてください。
1.「両手取引」の場合は値段交渉の余地がある
不動産会社は様々な手法で両手取引を成約させます。なぜなら不動産会社からすれば、両手の方が片手よりも2倍の手数料がもらえるからです。
両手取引の説明は次の通りです。
売主A:買い主を探してもらうためB不動産会社へ依頼 ▼ B不動産会社:直接買主Cを見つけ売買契約を結ぶ (このケースでは、仲介業者はB不動産会社のみ) ▼ B社はAとCの双方から仲介手数料をもらうことが可能 |
結果として入ってくる仲介手数料が2倍になります。この流れが両手取引です。一見両手取引は仲介業者が得をしている様に見えるのですが、実際は次の経費がかかります。
- 契約後の登記手配
- 住宅ローンの手配
- 物件を売却するための宣伝費
経費分を差し引き手数料を貰うので、売買契約がうまく進まなかった時には発生した費用はすべて損になります。
大手の不動産会社では両手取引の成立確率は約2、3割とも言われています。無報酬となった業務分の費用などを、売買契約が成立した際に充当することが多いです。このような事情を考慮して交渉するのが良いです。
2.「片手取引」は商談・交渉に時間がかかる
片手取引の説明は次の通りです。
売主A:買い手をさがしてもらうためにB不動産会社に連絡 ▼ 買主C:いい物件を探すためにD不動産会社に依頼 ▼ お互いの条件が会い、AとCの間で売買契約成立 ▼ 不動産会社:仲介手数料が貰える |
上記の場合、手数料を貰えるのはB社とD社です。売買契約が成立した際に、入る仲介手数料の流れは次の通り。
- 売主Aは依頼したB不動産会社へ支払う
- 買主Cは依頼したD不動産会社へ支払う
営業姿勢が消極的だったり、取引が円滑におこなわれなかったりする点はデメリットとも言えます。しかし、公正な取引が行われたり広く買い手を探せたりするので、顧客に寄り添った取引手法と言われています。
3.「あんこ」は別の不動産会社が不動産会社を仲介している
あんこは買主側の不動産会社と売主側の不動産会社の間を仲介する、別の不動産会社が入っている取引形態です。
買主や売主から見ると、仲介依頼をしている別の不動産会社は表には見えてきません。
そのため、「饅頭の餡子」に例えて「あんこ」と呼ばれています。
仲介手数料は買主および売主は直接仲介契約をしている不動産会社にのみ支払うので、あんこ業者が存在するから仲介手数料が増えることはないです。仲介手数料を受け取った不動産会社が、間に入っていた仲介業者(あんこ)と仲介手数料を分け合う仕組みです。
最近では少ない取引形態ですが、突然知らされて焦ることがないよう、知っておくと良いでしょう。両手取引の場合は買主と売主の間のやりとりが不動産会社で完結するので、あんこが関わることがないです。
また、別の仲介を行う不動産会社が居ても、買主や売主などの一般消費者には取引上でも知ることはないです。あんこだから余計な問題が発生したり、費用がかかる心配も必要ありません。
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媒介と仲介の違いは不動産取引においてはほぼ一緒で、手数料も同じことを意味します。不動産会社における媒介契約は次の3つがあります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
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