- 「不動産の囲い込みは違法なの?」
- 「違反しない見解があるのなら教えて!」
- 「囲い込みされないように対策できるなら知りたい」
不動産の囲い込みは、意図的に市場に物件を公開しないことを指します。仲介の手数料は単純計算で2倍になり、不動産会社は売主と買主の両方からもらうことが可能です。
本記事では、売却物件が囲い込みか疑っている人に向けて次の3つを紹介します。
- 不動産の囲い込みとは
- 囲い込みが違反に相当しない見解3選
- 悪用されない対策4選
ぜひ最後までご覧ください。
不動産の囲い込みとは?意図的に市場に公開しない行為
不動産において「囲い込み」とは、自社で「両手仲介の手数料」が欲しいため売却依頼を受けた物件の情報を、意図的に市場に公開しない行為です。
両手仲介は媒介の依頼を受けた際に、買主を他の不動産会社を介さず見つけた時に、売主と買主の両方から仲介手数料をもらうことです。
売主①:買主を見つけてもらうため不動産会社②へ依頼 ▽ 不動産会社②:直接買主③を見つけ売買契約を結ぶ (この例では、仲介業者は不動産会社②のみ) ▽ 不動産会社②は①と③の両方から仲介手数料をもらうことができる |
他の不動産会社が介在する片手取引とは違い、収益は単純計算で2倍となります。不動産会社の多くは買主となる顧客を獲得するため、自社の顧客接点やネット媒体などで広告を出して、顧客を探すことに注力しています。
不動産の囲い込みは違法なのか?実は違反に相当しない見解3選
この「囲い込み」が違法という見解が多く存在します。多くの手数料を受け取りたい不動産会社が、意図的に市場に公開しないのは違法ではないのでしょうか?
結論、現状では違法ではないとされています。しかし、内容によっては違反に相当する可能性があります。
不動産の囲い込みが、違反に相当しないという見解は次の3つです。
- 宅建業法は「違反ではない」
- レインズ規定は「正当な理由がなければ違反」
- 都庁は「売主の承諾があるならOK」
3つの見解を参考に、囲い込みが違法なのかお教えします。
1.宅建業法は「違反ではない」
不動産の法律の宅建業法において「不動産の囲い込み」は違反に相当しないです。
宅建業法において、明確に囲い込みが違反になるという、根拠の条文はないためです。
宅建業法や国土交通省が定めたガイドラインなどには、「成約が可能になるように積極的に協力して欲しい」旨の記載はあったとしても「物件を囲い込むのはNG」とは書いていません。
とはいえ、次の2つの場合はレインズへ登録せず、売却不動産の囲い込みをしたら宅建業法違反です。
- 専任媒介
- 専属専任媒介
ただし、一般媒介はレインズへの登録義務はないので、違反にはならないです。
参考:不動産流通市場における情報整備のあり方研究会「レインズ機能の充実の必要性について」(国土交通省)
2.レインズ規定は「正当な理由がなければ違反」
宅建業法では違反ではないですが、レインズには次のような記載があります。
- 「正当な理由」がない限り、売却不動産の紹介や内覧依頼を断れない
- 「正当な理由」がない場合、「是正勧告・注意・戒告」を受けることがある
つまり、他の不動産会社が内覧を希望した場合、売主の承諾なく断ったらレインズ規約違反に相当します。レインズを使えなくなると、今後の不動産会社としての活動を大きく制限されますのでご注意ください。
元になる条文は下記に記載します。
第 18 条 元付業者は登録物件に関し、客付業者から物件詳細の照会、現地案内申込みの連絡
を受けた場合には、正当な事由がある場合を除いて拒否してはらない。
引用元:レインズ利用に関する規定集(客付業者からの物件照会等)
第7条 規程第 18 条及び第 19 条で定める正当な事由とは、次のとおりとする。
(1) 既に書面による購入等の申込みを受けていること
(2) 売却等希望価格と購入等希望価格との著しい乖離
(3) 売却等希望条件と購入等希望条件との乖離
(4) 依頼者の意思
2 同時に複数の購入等の申込みの連絡があった場合においては、依頼者及び元付業者が選
択権を有するものとする。
引用元:レインズ利用に関する規定集(正当な事由)
物件の不紹介…是正勧告・注意(公表)・戒告(公表)
参考:レインズ利用に関する規定集(公益社団法人西日本不動産流通機構)
3.都庁は「売主の承諾があるならOK」
「売主の承諾がある」のなら、都庁は物件の囲い込みはしてもよいと回答があります。しかし、内覧を断ったのであれば「媒介業務報告書」で売主へしっかり報告する義務が発生します。つまり、囲い込みした理由を説明できないといけません。
また、レインズへの登録が必要な「専任媒介」や「専属専任媒介」は、「売主の承諾があれば」内覧を断っても問題ないとのことです。
大手不動産は囲い込みが蔓延?悪用されない対策4選
ここまで不動産の囲い込みは、違法ではないと説明してきました。しかし、実際は顧客に知らせずに仲介手数料を2倍とる、不動産会社の都合だけを考えた行動とも言えます。
2021年のデータですが、大手不動産仲介は囲い込みが蔓延しているというデータが出ています。参考はこちら
≫大手不動産仲介は「囲い込み」が蔓延?!(2021年データ)
そんな時に悪用されないよう、対策するには次の4つが有効です。
- レインズで登録証明書を発行されているか
- 登録証明書からどんな内容が登録されているか調べる
- 取引状況ステータスを把握する
- 電話で物件確認をする
実際に調べるにはレインズにログインする必要があります。「専任媒介契約」や「専属専任媒介契約」の物件であれば、売主専用確認画面にログインすると、登録情報の確認が可能です。ログインはこちら。
1.レインズで登録証明書を発行されているか
レインズへの登録が義務になっている、次の2つは「登録証明書」をもらうようにしましょう。
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
登録証明書とは、不動産会社がレインズに物件を登録する時に発行するものです。発行されていれば、登録がされている状況だと言えます。
2.登録証明書からどんな内容が登録されているか調べる
自分の家がどういった内容で登録されているのか、「登録証明書」に記載されたIDとパスワードを使って確認可能です。
売主自身でもレインズ登録内容は確認できるようになり、IDとパスワードは次の場所にあります。
上記のIDとパスワードを元にログインし、ご自身の売出し物件の情報を確認可能です。
3.取引状況ステータスを把握する
売主がレインズ登録内容を確認できるのは「取引状況」を把握させるためだと言えます。主な目的は「囲い込み」を防ぐためです。
囲い込みをされた売主は、売るのがおそくなったり、時には売却価格が下がったりと不利益になることが多いです。その対策として「取引状況」という項目が設けられて、売主に公開されるようになりました。
取引状況には次の3つがあり、不動産会社は「申し込みが入っている」と嘘をつかない仕組みです。
公開中 | 他の不動産会社から問い合わせを受けている |
書面による 購入申し込みあり | 不動産会社が書面により申し込みを受けている |
売主都合で一次紹介停止中 | 売却依頼主の事情で一時的に物件を紹介できない |
物件を売却する際は、取引状況を把握しておくと良いです。
4.電話で物件確認をする
不動産会社の間では「物件の有無の確認(物件確認)」を電話で頻繁に行っています。これから案内する物件に申し込みがあるかわからない、といったこをなくす作業です。申し込みが入ったのを紹介しないよにすることで、トラブルを回避するためです。
囲い込みの手順は次の2つを順番に行います。
- 不動産業者を装い、電話で「物件確認」する
- 一般客を装い、電話で「問い合わせ」する
どちらが先とはありませんが、電話を2回することで、売却されている物件が囲い込みされているか確認できます。
もし、不動産業者の時に「申し込みあり」で、一般客の時に「申し込みなし」なら囲い込みの疑いがあります。
囲い込みのない大阪の不動産はAnz Real Estate
不動産の囲い込みは両手仲介の手数料が欲しいため、意図的に市場に公開しない行為です。両手仲介は単純計算で片手取引の2倍の収益になり、法律には違反しません。
大手不動産では囲い込みが蔓延しており、信頼できる不動産会社を選ぶのがポイントです。「囲い込みのない不動産を選びたい」といったご相談があれば、ぜひお問い合わせください!
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